今日は背骨のゆがみについてです。

体の様々な不調は背骨のゆがみが原因だと主張する人は大勢います。しかし、この言説には全く根拠がありません。なぜなら、背骨のゆがみと体の不調に関連性があると証明されたことは、これまで一度もないからです。

施術者が患者の背骨を触診して、「ここの骨がゆがんでいるね」と言って、骨のゆがみを調節する手技を行う。整体やカイロプラティックでよく見られる光景ですが、触診で背骨のゆがみを確認することがそもそも間違っています。

画像を見ていただきたいのですが、背骨を触診するとき、実際に触ることができるのは、椎骨の後ろに飛び出した棘突起という出っ張りだけになります。

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棘突起は生まれつきゆがんでいるのが普通で、背骨がまっすぐでも、棘突起がまっすぐ並ぶ確率は20%程度しかありません。

実際にはゆがんでいない背骨をゆがんでいると指摘され、調整とかアジャストと称して骨に操作を行われているというのが実情になります。さらに、もし本当に背骨がゆがんでいても、そのことと体調不良には関係がありませんから、二重に間違っているわけです。

さて、アメリカのニュースですが、カイロプラティックの施術を受けた女性が亡くなってしまいました。首を曲げる施術を行った際、左の椎骨動脈が裂けてしまったということです。アメリカではカイロプラティックは公的な資格制度がありますが、そのアメリカでこのような事故が起きるとは少々驚きではあります。

日本には公的なカイロプラティックの資格はありませんので、カイロの平均技術レベルはアメリカに劣ります。公的な資格がないということは、もし日本でアメリカのような事故が起きた場合、医療事故ではなく傷害事件という話にもなります。

何にせよ、施術を受ける際は、情報をよく吟味していただきたいと考える次第です。

(画像:人体の正常構造と機能X運動器)